MI治療というのは、Minimal Interventionの略で、「最小限の侵襲」と訳されます。「極力歯を削らずに、今ある歯をできる限り残す」という考えの治療法です。
たくさん削る昔ながらの虫歯治療が当たり前の時代に育った私は、MI治療を知ってから、「歯を必要最小限しか削らないMI治療」に心血を注いできました。
・歯をできるだけ削らないから、痛みを伴うことがあまりありません。(麻酔を使った無痛治療もできます。)
・時間がかからないので早く治療が終わりますし、ほとんどの場合、1日で虫歯が治ります。
・白い材料を使うので、どこを治療したのか分からないくらい自然できれいに仕上がります。(口腔内において今のところもっとも優れた材料だと言えます。)
私が子供のころにこの治療法があったら、あんなにこわくて痛い思いをせずに済んだのに…!と、思わずにはいられません。
MI治療には、「コンポジットレジン」というセラミック系の歯科材料を使うのですが、これは、現在のところ、歯と一番よく接着し、機能する歯科材料です。
( ※一昔前ですと、このコンポジットレジンという素材は、実はあまりよくないイメージで語られることがありました。組成物の質と配合が悪く、色も変色しやすかったのです。しかし、今ではコンポジットレジンの組成物の8割はセラミックになり、2割が樹脂素材です。色の変色もほとんどおこらないように改良が進んでいます。わざわざ高額なポーセレンにしなくても、それよりも安価なコンポジットレジンで十分です。)
普通のいわゆる銀歯ですと、歯と詰め物を接着剤でくっつける必要がるのですが、この接着剤が実は曲者で、どうしても隙間ができたり劣化してしまいます。しかし、このセラミック系の「コンポジットレジン」という素材はそれ自体を直接固めるので、接着剤がいらないのです。ですから歯との継ぎ目がほとんどないので、詰め物と歯のすき間から虫歯が再発する可能性を低くすることができます。また、金属アレルギーの患者さんにも安心して使っていただけます。
※MI治療にはたくさんのメリットがありますが、進行しすぎた虫歯や、食べ物を噛む奥歯には、MI治療が適応できない場合があります。詳しくは、治療の際にドクターにご相談ください。
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