歯科医師には、職人と言ってもいい面があります。歯医者の腕の良し悪し、上手下手は「診断力」と、この「技術力」に関するものが大きな割合をしめます。
ほんの髪の毛ほどのものが挟まっても、大変な違和感があるくらい、口の中は繊細で、数ミクロンという非常に細かい世界だからこそ、歯科医の技術は重要です。そしてもちろん、私もプロの端くれとして、かみ合わせをはじめとして歯科技術に大いに自信をもってもいます。
でも決して奢るつもりはありません。職人にとって、技術は生命線です。そしてプライドがあるがゆえに、「もうこれくらいでいい」ということはないのです。私は自分に妥協せず、技術の向上を図っていきます。
特に、MI治療(ダイレクトボンディング)、前歯のポーセレン(審美的な歯の補修)、総義歯(入れ歯)、咬合(かみ合わせ)は、私にとって作業ではなく、芸術作品を創るようなものです。例えば入れ歯であれば、その人にとって一番いい状態をピタっと一発で調整できると本当に気持ちがいい。顔の印象を決める前歯の審美的な治療であれば、美術と彫刻のようなものです。一人一人のかみ合わせはもちろん、顔の形にも配慮しますから、自分の仕事に惚れ惚れするくらい、アーティストの気持ちになるぐらいなのです。
もちろん日々の診療は大変な激務ですから、体も頭もフル回転ですごく疲れます。それでも芸術家にとっていい作品ができるのは堪えられないし、患者さんが笑顔を見せてくれるのが一番うれしい瞬間です。いい仕事ができて、患者さんも喜んでくれたら、それが自分の喜びにつながります。すると不思議なもので、それでもう疲れも吹き飛ぶのです。こだわりをもち、自分を欺かない、本当に誇れる仕事(作品)を作り出せるよういつも精一杯のことをしていきます。
口は顔の中で最も大きなパーツです。そして口は肛門までつながっている内臓の入口であり、生きるために食物を取り入れる最初の器官です。消化のための機能だけでなく、自律神経やホルモン分泌など多岐に渡って大事な役割をしています。
ですから歯や口というのはあなたが健康に生きていくためになくてはならない大切な働きがあり、歯や口の中に不具合や病気がある場合は、「単にその部分だけの問題ではない」のです。
歯科医療も年々進歩していきます。近年では、歯と全身の関係、病気と口腔内の関係がクローズアップされてきています。歯医者というのは患者さんの健康を担う責任の重い仕事です。単なる修理屋さんでは通用しません。人体の仕組みを知り、健康であるための助けとなれるよう、みなさんのよき健康アドバイザーとして、親身になって歯科医の立場から患者さんのお悩みやご相談にお応えしていきます。
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